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Ben Folds Five

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【ライブレポート】Ben Folds Five at 昭和女子大学 人見記念講堂 2013.2.16

ジャパン・ツアー2013 初日ライブレポート


 この3人には、またもや(いい意味で)裏切られました。“まぁ、同窓会みたいなノリなんでしょ”と勝手に決めつけていた新作「Sound of the Life of the Mind」が、蓋を開けてみたら聴き応え十分の名作で(詳しくはコチラ)、己の浅はかさを反省した私ですが、“とはいえ、さすがにライブはレッツ・ハヴァ・ 同窓会 パーリー♪な世界だろうなぁ~”とのんきに会場に向かったのでした。
……が、1時間40分ほどのショーは、Ben Folds Five(以下、BFF)とファンのあったかい一体感のみならず、3人のプロフェッショナルなミュージシャンが繰り出す魅惑的かつスリリングなプレイ、音楽のチカラで“ここではない何処か”へ持っていかれる極上のトリップ体験などがみっちり詰まった、すっばらしいモノでした。


私の席は前から5列目・やや左寄り(=Benさんサイド)。客席を見回すと、デビュー当時からBFFを愛聴してきたとおぼしき年代の方もあちこちに。
 なんだかイケイケなダンスビート(…すみません、この手の音には不案内なもので)が大音量で流れるなか、3人が飄々と登場。2000年のサマーソニックが最後のパフォーマンスだったので、3人揃って日本のステージに立つのは13年ぶりです。
 Benさんが甲高い声で“Tokyo サイコー!!”と叫び、最新作収録の「Michael Praytor, Five Years Later」がスタート。もちろんBenさんは、右足を大きく前に踏み出して、おしりが椅子に触れる寸前まで腰を落としたおなじみの体勢。ドラムセットは一段高くなっている上に、セッティングがシンプルなので、Darrenさんの叩く姿がよく見えます。Robertさんのベースはレスポールかな(?!)。ライブの間じゅう、あたかもギターのような音を発したり、ジャジーなフレーズを紡ぎ出したり、それはそれは変幻自在です。あ、ひところよりスマートになったかも(笑)。
「Jackson Cannery」のイントロが始まると、客席からもの凄い歓声が(←そりゃそうだ)。演奏を終えると椅子に座ったまま体を正面に向け、客席のあちらこちらに手を振るBenさん。いい笑顔です。そして「Selfless, Cold and Composed 」では、ジャジーでハンサムなピアノに心がとろけまくり。ちょっとすました感じのクラシカルなフレーズから、ミュージシャンというよりアスリートと呼んだ方がふさわしいようなアグレッシブでアクロバティックな演奏まで、彼のピアノの表現力の多彩さは本当に驚異的ですね。そしてここで、唐突にカントリーミュージックの大物ウィリー・ネルソンさんの誕生祝いを(オーディエンスに「Happy Birthday」を歌わせ、携帯電話でビデオ撮影してました。ちなみに御大の誕生日は4月です)。


 続く「Erase Me」は曲調の展開と照明の転換がドンピシャで、この曲が持っているドラマティックな魅力が倍増(特にサビの“赤+緑”が無茶苦茶カッコよかったです)。このライブ、ライティングの手法自体はシンプルなんだけど、曲ごとに配色が工夫されていて、素敵だったなぁ。続いて、この日演奏した唯一のソロ曲「Landed 」は、間奏部分で思わず観客が歓声を上げるほどの素晴らしい仕上がりでした。「Sky High」ではコントラバス(ウッドベース)が登場し、Robertさんが弓で弾いたり弦をつま弾いたり……。Darrenさんは「Erase Me」と同様にマレットを使用。Benさんはピアノの弦を押さえながら鍵盤弾いたり、弦をポロロン♪と鳴らしたり。アルバムで味わうことのできた深遠でミステリアスな雰囲気が見事に再現されていました。新作「Sound of the Life of the Mind」は最初からライブでプレイすることを想定して作ったのかな?それともアルバムの味わいをステージで再現するための作戦を3人であれこれ考えたのかな?
「Draw A Crowd」ではRobertさんがちらりとシンセも演奏。そして軽やかに(?!)ダンス&ジャンプ!! テレビなんかでよく見る“全員揃って手を左右に振る”ってやつ、生まれて初めて体験しましたよ(笑)。「Thank You for Breaking My Heart」で、再びコントラバスがお出まし。気高さとやさしさと緊迫感が共存する音世界に引き込まれ、自分が何者で、ここがどこなのか、しばし分からなくなってしまった。コーラスがまた美しくてね。この人たちのハーモニーって、もっとユルかったですよね?以前は。


 コントラバスが効いた「Brick」を演奏した後、Benさんが“日本語喋れなくてごめん”と前置きしつつ知っている日本語をあれこれ披露。そして長年応援している日本のファンに対する感謝の言葉を述べ終わると、すぐさま「Philosophy」へ。そして、ここからラストまで、怒濤のごとく人気曲を連発。わたくし、1996年の初来日公演を観ていることもあって、懐かしさや甘酸っぱい感情が溢れ出てきたわけですが、そんなノスタルジーをはるかに凌駕する“今この瞬間のBFFの素晴らしさ”こそが胸を熱くしてくれました。「Underground 」の出だしで、RobertさんとDarrenさんが順に歌うのを眺めているBenさんのうれしそうな表情、サビの前に“よっしゃ、行くぜ!!”みたいな感じでガシッとマイクをつかみ、歌いやすい高さに動かす仕草……、やっぱり“BFFのBenちゃん”はいいですねぇ。「Narcolepsy」の終盤のカオスを経て、間奏のラッパパートへの観客参加が恒例の「Army」を終え、ぺこんとおじぎをした3人はスタスタとステージを去っていきました。そしてしばらくすると、一足先にRobertさんが登場してベースでなにやら演奏をスタート。ほどなく2人が加わって「金を返せ(Song for the Dumped)」へ。なるほど。しかし、こんな凄いライブを演ってくれた人たちに向かって“金を返せ”と叫ぶのは、何回やっても慣れません。変ですよ、これ(笑)。続く「One Angry Dwarf and 200 Solemn Faces」で会場内はまさに興奮のるつぼに。“やっぱりこの3人は最強!!”。あの会場にいた誰もが心の底からそう感じたのではないかと想像します。3人でまた日本に来てくれてありがとう!! 素晴らしい音楽をありがとう!! 本当に本当に観てよかったです。<木村美幸>


- セットリスト -
Michael Praytor, Five Years Later
Jackson Cannery
Hold That Thought
Selfless, Cold and Composed
Erase Me
Landed
Sky High
Missing The War
Battle of Who Could Care Less
Draw A Crowd
Thank You for Breaking My Heart
Brick
Philosophy
Kate
Underground
Narcolepsy
Army
_____________________________________

Song for the Dumped
One Angry Dwarf and 200 Solemn Faces


- ツアー・スケジュール -
東京公演
2月16日(土) 昭和女子大学 人見記念講堂
2月18日(月) 渋谷公会堂
2月20日(水) 広島クラブクアトロ
2月21日(木) 名古屋クラブクアトロ
2月22日(金) メルパルクホール大阪


お問い合わせはウドー ウェブサイトへ


photo by 森リョータ
reviewed by Miyuki kimura

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Feb 18, 2013

 

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