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Ben Folds Five

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BEN FOLDS FIVE "Sound of the Life of the Mind"

2012(SONY LEGACY)

1995年、アルバム「Ben Folds Five」でデビュー → 2000年に惜しまれつつ解散 → '08年秋、一日限りの再結成ライブを決行 → '11年、Ben Foldsのベスト盤「The Best Imitation of Myself: A Retrospective」に収録するため、Ben Folds Fiveの新曲(3曲!!)をレコーディング → その勢いで(笑)アルバムも制作。 こうして私たちに届けられたのが、「ラインホルト・メスナーの肖像」以来13年ぶりとなる4thアルバム「The Sound Of The Life Of The Mind」です。

ブンブンうなるRobert Sledgeのファズベース、Darren Jesseeの手堅いのに明るくて華のあるドラム、アグレッシブで奔放なBen Foldsのピアノ、静と動の鮮やかなコントラスト、ちょっとシュールな展開部、美しくて愛らしい(≒少々ユルい)コーラス……。オープニング曲の「Erase Me」は、Ben Folds Fiveのサウンドを象徴するエレメンツがたっぷり詰まった楽曲で、あの愛すべき3人組が還ってきたことを高らかに宣言しているかのようです。“泣き虫野郎のパンク・ロック”と自ら標榜していたあの時代の荒削りなムードを求めるなら、M-6「Draw a Crowd」がおすすめ。人形たちとの競演ビデオが好評なM-7「Do It Anyway」のオルナタ・パンク・カントリーな風情に歓喜する向きも多いはず。

……と書くと、疾走感溢れるデビュー時を彷彿とさせる、丸ごとエネルギッシュな作品なのかと思われるかもしれませんが、流麗なバラードや、ストリングが大活躍するミドルナンバーなど、Benさんのソロ作の延長のような曲も収録されています。彼らの才能&センスをもってすれば、多くのBen Folds Fiveファンが間違いなく狂喜乱舞するであろう“1stアルバムの焼き直しのような作品”を作ることも朝飯前なはずですが、“俺たちにそんな発想はないぜ”とばかりに現時点でのBF5の音を追求し、それをポンと差し出す妙齢の3人組、あぁ、なんて素敵♡ あと、Benさんのピアノにヒリヒリするようなスリルを感じる瞬間がアルバムのあちこちにあるのは、やっぱりRobertさん、Darrenさんと共演しているからこそだと勝手に想像しています。

ちなみに、海外のレビューはけっこう辛口なものも多いのですが、それを鵜呑みにしてはいけません。確かに1stのようにスーパーウルトラキャッチーな曲が数珠つなぎなわけではないし、多くの曲の構造がいささか複雑なこともあり、1度聴いただけではアルバムの輪郭がつかみにくいのです。でも、2回、3回、4回と聴けば聴くほど、その魅力は加速度的に増加。いわゆる同窓会的アルバムとはベクトルを異にする快作だということが明らかになっていきます。<Miyuki Kimura>

TRACKLISTING:
1. Erase Me
2. Michael Praytor, Five Years Later
3. Sky High
4. The Sound Of The Life Of The Mind
5. On Being Frank
6. Draw A Crowd
7. Do It Anyway
8. Hold That Thought
9. Away When You Were Here
10. Thank You For Breaking My Heart