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The Figgs来日特集【特別寄稿】「カバー曲から辿るThe Figgsの音楽性」 ~Lowlife Records代表-山本 徹氏~

現在Japanツアー真っ最中のThe Figgs大阪公演 6月25日(日)東心斎橋ClubStompを主宰するLowlife Records代表、山本 徹氏による特別寄稿!


「A MINOR OBSESSION」というThe Figgsのデータベース的なサイトがある。
メンバー全員の課外活動も含めた詳細なディスコグラフィ、過去のライブの日程、歴代のポスターやグッズ、メディアに掲載されたレビュー(昔のクロスビートの記事も!)など、とにかくThe
Figgsに関する膨大な情報が網羅されている。
そのサイトに、The Figgsがこれまでにカバーした楽曲のリストがある。全258曲(!)の中から、どういう楽曲を取り上げているのか、傾向を分析してみた。

【ランキング編】
こちらのページにリストアップされた楽曲を集計し、多く取り上げられているアーティストを並べてみた。
ちなみに、Sportifyでこのランキングを元に、原曲を集めたプレイリストを作成したので、興味のある方は聴いてみてほしい。
The Figgs Covers


1位 The Kinks 17曲

A Well Respected Man
Animal Farm
Death of a Clown
Father Christmas
Johnny Thunder
See My Friends
Sitting in the Midday Sun
Starstruck
Stop Your Sobbing
Sunny Afternoon
Supersonic Rocket Ship
This Man He Weeps Tonight
Tired of Waiting for You
Victoria
Village Green
Waterloo Sunset
Where Have All the Good Times Gone

なんと17曲もカバーしており、アーティスト単体ではダントツの1位となった。
曲数もさることながら、「Victoria」「Waterloo Sunset」のような誰もが知る代表曲から、「This Man He
Weeps Tonight」のような通好みな曲まで幅広く選曲されており、Kinksへの深い思い入れが感じられる。


2位 The Beatles 13曲

All Together Now
Blackbird
The Continuing Story of Bungalow Bill
Dear Prudence
For You Blue
Glass Onion
Hey Bulldog
I'm Only Sleeping
Mother Nature's Son
Not a Second Time
Rain
She Said She Said
Things We Said Today

Beatlesのランクインは妥当なところだが、選曲は一筋縄ではいかない。
13曲でも充分多いが、Paul McCartney 5曲、John Lennon 2曲、Ringo Starr
1曲と、ソロの楽曲も含むとKinksの曲数を超える。
また、Beatlesの楽曲以外にも、The Shirelles "Boys"や、 Larry Williams "Bad Boy"
"Slow Down "、The Top Notes "Twist and Shout"、Barrett Strong "Money
(That's What I Want)"など、Beatlesがレパートリーとしていた楽曲も多くカバーしている。


3位 The Rolling Stones 12曲

Beast of Burden
Dance Little Sister
Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)
Fingerprint File
Hang Fire
Happy
If You Can't Rock Me
Luxury
Miss You
Mother's Little Helper
She's So Cold
When the Whip Comes Down

英国四大ロックバンドのうち3組がトップ3を占めた。ちなみに、四大ロックバンドの中でも特にFiggsとの共通項の多そうなThe
Whoは意外にも7位に甘んじる結果となった(とは言っても、7曲もカバーしているのだが)。
Stonesといえば、今回のジャパン・ツアーでも既に"Dance Little Sister"のカバーが披露されたそうだ。
関連のソロ作品では、Ron Woodのソロ作(Stones加入前の作品だが)から"I Can Feel the Fire"を取り上げている。


4位 Neil Young 11曲

Comes a Time
Don't Be Denied
Don't Cry No Tears
Down by the River
Human Highway
Like a Hurricane
The Loner
Lookout Joe
Lotta Love
On the Beach
Till the Morning Comes

上位3組が英国のバンドとなったが、4位にカナダ出身のNeil Youngがランクイン。
ソロの楽曲以外では、Buffalo Springfield "Mr.Soul"も取り上げている。
Figgsは今回のツアーでTeenage Fanclubのカバーを演奏したそうだが、言わずもがなTFCもNeil Youngから多大な影響を受けたバンドだ。Neil Youngが90年代のギターバンドに与えた影響は大きい。


5位 Graham Parker 10曲

Black Lincoln Continental
I Discovered America
It's My Party (But I Won't Cry)
Local Girls
Mercury Poisoning
Passion Is No Ordinary Word
The Raid
Soul On Ice
Soul Shoes
Stupefaction

ある意味最もThe Figgsに影響を与えたであろうミュージシャン、Graham Parker。
Grahamが"Passion Is No Ordinary
Word"のカバーを気に入ったのがきっかけで、FiggsはGrahamのバックバンドを務めることとなったという。
そんなこんなでFiggsは多くのGraham Parkerの名曲をカバーしているが、特筆すべきはやはり"I Discovered
America"だろう。Mike Gentがレコーディングに参加した2007年作"Don't Tell
Columbus"のオープニングを飾る、渋いフォークロック・ナンバー。
Graham Parker関連では、The Rumour "One Good Night"も取り上げている。


以下、6位 The Velvet Underground(9曲)、7位 The Who(7曲)、8位 Bob Dylan(6曲)、9位
NRBQ(5曲)、Husker Du(5曲)と続く。


【お友達編】
Figgsはレジェンド的なアーティストの様々な楽曲をカバーしている一方で、交流のあるインディ・バンドの楽曲も頻繁に取り上げている。
以下、おそらく何らかの交流がありそうなものを挙げてみた。
(具体的な関係が不明なものについては、ツアー中に本人たちに確認したい。)


The Green Pajamas - ”Katy Lied”, ”Mike Brown”, ”My Mad Kitty”

80年代中頃から活動しているシアトルのインディ・バンド。
Figgsは彼らの楽曲を3曲もカバーしている。
活動休止期間はあるものの、非常に多作であるところがFiggsと似ている。

The Gravel Pit - ”(Suckin' on A) Holiday Treat”
Jed Parish - ”Merry Christmas Girl”
80年代中頃から活動しているボストンのバンド。
FiggsはGravel Pitから一曲、Jed Parishのソロから一曲を取り上げている。
Gravel Pitのメンバーのうち3人は、Mike Gentと一緒にThe Gentlemenというバンドで活動している。

The Silos - ”Susan Across the Ocean”
こちらも80年代中頃から活動を続けるバンド。近年はGraham Parkerと同じBloodshot Recordsから作品をリリースしている。
バンドの創始者の一人、Bob Rupeは後にCracker他多くのバンドで活躍している。

Death Vessel - ”Tidy Nervous Breakdown”
中性的なヴォーカルが印象的なJoel Thibodeauによるユニット。Sub Popに所属。Pete Donnellyが1stアルバムのレコーディングに参加していたようだ。

The Broken West - ”Down in the Valley”
2004年結成のパワーポップ・バンド。Mergeと契約し、2枚のアルバムをリリース。2009年にバンドは解散するも、中心人物のRossはApex Manorという名義でMergeからアルバムをリリースしている。


このように、The Figgsは膨大な量の楽曲を演奏している。多くは一般的にはそこまで知られていない楽曲であり、場を盛り上げるためにヒット曲を演奏するのとは意味合いが異なる。先人にはリスペクトを込めて、同世代や後輩のバンドには友情を込めて、The Figgsは今夜もたくさんの曲を演奏する。
もしあなたが、彼らの演奏するカバー曲の中から何かお気に入りを見つけたなら、 どんどんルーツを辿って音楽を聴いてほしい。

Lowlife Records
山本 徹


※大阪近郊の方はぜひ山本氏主宰のThe Figgs大阪公演に足を運んでみてください!
- LOWLIFE Records Presents "Melody #6" -
6月25日(日) <大阪> 東心斎橋 Club Stomp
____________________________
山本 徹
1979年大阪府生まれ。DJ、音楽ライターとしての活動を経て、2015年よりLowlife Records名義でライブの企画を行なっている。

これまでの代表的な企画は、DM3大阪公演、The Small Squareジャパンツアー、Lolasジャパンツアー、Jim Boggia神戸公演、Tommy Keeneジャパンツアーなど。


【公演詳細】
7月1日(土)
POWERPOP ACADEMY presents『The Figgs Japan Tour in Shinjuku』
会場:新宿 SAMURAI
出演:The Figgs、aeronautsROCKBOTTOM
open 18:30 / start 19:00
前売 3,500円 / 当日 4,000円 (+1ドリンク)

前売りチケット販売
http://thistimerecords.shop-pro.jp/?pid=117123342


【The Figgs JAPAN TOUR 2017】

6月20日(火) <秋葉原> Player's Club IkeBECK
6月22日(木) <島根> 江津 光善寺
6月23日(金) <福岡> 福岡 LIV LABO
6月24日(土) <大阪> club WONDER
6月25日(日) <大阪> Club Stomp
6月27日(火) <石川> 金沢 beat hall
6月28日(水) <富山> 富山 DOBU6 どぶろく
6月29日(木) <静岡> 富士 world football bar KICKER
7月1日(土) <新宿> 新宿 SAMURAI 【POWERPOP ACADEMY presents The Figgs Japan Tour in Shinjuku】
7月2日(日) <鎌倉> 鎌倉 Cafe Goatee


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Jun 24, 2017

 

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