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【ライヴレポート】ナードマグネット@代々木Labo 2015.6.20

Mixtape Release Tour Final 東京編

感傷的な空気もそのままに、またも須田のMC。「前のアルバムとして『この恋は呪い』ってアルバムを出したんですけど…それで、Twitterで、ハッシュタグで#恋呪ってのを作って。文字通り恋の呪い、トラウマになった恋だとかそういうのを募集していたんですけど。意外にエピソードが集まりまして。ほんまに重いやつから、しょうもないやつまで(笑)。で、最も面白いエピソードを僕らメンバーで厳選しまして、1位に選ばれたエピソードには僕らから5,000円を送るという企画をやってたんですけど、今回もまた募集してます。これまためっちゃ集まっててちょっと困るくらいなんですけど、そんな呪いのようなこの恋に生きてくって曲を演ります」。もちろん、演奏されるのは「恋は呪い」だ。先の曲を引き継ぐ形で、感傷的な空気が流れるも《あの日、君が殺し損ねた僕がここにいる》と須田は歌う。やはり、“君”はもういないのだ。でも、いや、だから、何だと言うのだろう。“君”の先に、このオーディエンスとの光景が広がるならば、それが本望だとさえ思える。「Mixtape」収録曲の「ラズベリー」をはさみ、「プロムクイーン」へ。淡々と歌う須田に前川のコーラスが重なっていく。歌われている景色は、あり得たかもしれない“君”と僕のものだ。それが、Velvet Crushのような、ズッシリしたアンサンブルで響いていく。

「僕はやっぱりね、音楽をやっていきたいな、と。最近Facebookで、やたら通知来るじゃないですか。誰々が誰それと結婚したとか婚約したとか。毎回その通知見てゲロ吐いてるんやけど(笑)。僕らも−−まぁ女性(前川)もいるので具体的な数字は伏せますけど−−いい歳してますけど、数奇な人生を送ってるなと思うんですよ。でも結局はね、音楽を続けていきたいと思ってます。肺がやられたりしない限りはね(笑)」と須田。確かに、ナードマグネットはその音楽性に反して、“いい歳”をしている。しかし、だからこそ、あの恋が、この恋が追憶のように重なっていくのだ。それは“いい歳”をしていないと出せないテイストでしかない。パワフルな演奏が支える。病のような恋も、“君”がいない今も思い出せる恋も、ここで鳴らされるのだ。続いた「いとしのエレノア」は、須田のミュート気味のSGのピッキングに合わせて、オーディエンスのハンドクラップが重なる。《Why Are You So Far Away From Me?》と須田が歌いかけるとオーディエンスも返していく。もちろん、Weezer「Across The Sea」のオマージュだろう。ナードマグネットが歌うのは、アメリカから日本へ思いを馳せたRivers Cuomoの姿ではなく、日本から海の向こうへ思いを馳せる須田亮太の姿だ。にもかかわらず、それが須田のものだけでなく僕らのものになってしまうのは、なぜだろう。それがオーディエンスのコール&レスポンスだ。海の向こうに思いを馳せながら、僕たちは今ここにいる、そう確認している。

同郷のroot.13らとのスプリットシングルとしてリリースした「テキサス・シンデレラ」を演奏したのち、ついにツアーの主役である「Mixtape」をプレイ。その前に、須田は「この曲は、去年からあった曲で自分たちのことを歌ってると思っていても本質的には自分でもわかっていなかった。でも、ライブで何度も演奏していくうちにやっと自分で意味がわかっていく、演れば演るほど自分の曲だと思えてくるんです」と語った。ツアーのタイトルトラックとも言える曲が終わると、「次が最後の曲です!ありがとうございました!ナードマグネットでした!」と須田が叫び、「ウェンズデイ」が続く。Motion City Soundtrack「Skin and Bones」のようなイントロから始まり、秀村のタイトなドラムが追随する。《この窓を叩いて連れ出してくれないか、こんな日には》。連れ出してくれないだろうか、誰に頼もう。ナードマグネットに、だ。

そう思うのはオーディエンスも同じだ。アンコールの声援が起こる。藤井が即時に帰ってくる。「アンコールですぐに戻ってくるのに定評のあるナードマグネットです」と藤井。続けて「ごめん、4曲目まで(ギターの)イコライジング、ミスってたわ」と言うと、須田が「黙ってたら皆わからへんねんから、言うな言うな(笑)」とツッコミ。そして、「初期の僕らの代表曲演ります!」と演奏されたのは、「アフタースクール」。アグレッシブなリズム隊とソリッドなギターが重なり、須田が絶叫する。この日を祝福し、そして葬送するかのように。

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Jun 30, 2015

 

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