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Kidsaredead

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Kidsaredead “The Other Side of Town”

2015 (BOTANICAL HOUSE)

フランス人SSW/マルチ奏者 Vincent Mougelによるソロ・ユニット Kidsaredeadのデビューアルバムは、『父さんのレコード棚のプログレ作品でスケール(音階)を練習し、ママが持ってるソフトロックのレコードで失恋の痛手を癒し、ベックやペイヴメントといったLo-Fiサウンドに出会った90年代半ばに4トラックでの音楽制作をスタート。 影響を受けたミュージシャンはトッド・ラングレン、ビーチボーイズ、クイーン、10cc……』

というプロフィールを読んでピンときたアナタの耳を絶対に裏切らない快作。白昼夢のBGMみたいなサウンドコラージュと奇怪で予測不能なコード&曲展開が、踊り出したくなるほどキャッチーなポップ〜ロック(+AOR)と混じり合い、合法トリップなリスニング体験をさせてくれます(胸がしめつけられるほどノスタルジックで美しい旋律が、アルバムのそこかしこに点在しているのもポイント)。
 そして、彼の音楽をよりいっそう魅力的なものにしているのが、甘くて奔放な小悪魔男子ボイス。ささやくような歌唱から、伸びやかでグラマラスな高音、半泣きしているみたいなシャウトまで、表情豊かで一瞬たりとも飽きることがありません。そんな素晴らしい歌声ですから、多重コーラスの響きはまさに極楽(※変態和声が多いけど(笑))。
 間違いなく、60年代より連綿と続く偏執的密室ポップス・ウィザードの系譜に加えるべき逸材でしょう。でも彼自身は、ナイーブで気難しい芸術家気質ではなく、普通にクラブに行ったり仲間とバーベキューを楽しんだりもする、社交的で育ちのよさが漂う好青年なんじゃないかなぁ。まったく根拠はないけれど、アルバムを聴いてるとそんな印象を受けます。かといって、ひたすら和やかでハッピーな音楽ではないし、ものすごく中毒性あり。どうです、アナタも深みにはまってみませんか? あ、最後の曲が終わった。もいちど頭から聴こうっと。

<Miyuki Kimura>