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Blood Rush Hour

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The Blood Rush Hour “And Then... The Unthinkable Happened”

2014(SELF) ¥1,600(taxout)

ソングライティング、ボーカル、キーボード、さらには管弦アレンジやプロデュースまでもこなすRobert DeStefano氏が率いるパワーポップバンドThe Blood Rush Hourのセカンドアルバム。

軽快に幕をあけたM1「Hello (They're Coming to Get You)」の“いきなりロック・オペラ展開”にグワッと胸ぐらをつかまれたら、あとはそのまま、迷宮のように複雑に入り組んだポップワールドへ、は~い! 1名様ご案内~(笑)。
前作「Shrink」も曲展開はかなり込み入っていたけれど、本作の場合、曲によっては歌メロまでもが複雑怪奇なこともあり、“つかまえて正体を明かしてやる!”と正面きって挑むと、少しばかり難儀な作品です。でも、この予測不能な世界に思い切って身を委ねてしまえば、あら不思議。奇怪にして爽快。面妖なのにフレンドリー。実はこの作品、リードボーカルの録音はいちばん最後。最初にレコーディングしたRobertによるコード弾きのピアノを手がかりに、仮歌もない(=メンバーには歌メロがわからない)状態で、ベース→ドラム→ギターほか→コーラス→管弦と順に構築していったのだそうですよ。
「何度も繰り返し聴いてほしい。お気に入りの曲がどんどん変わっていくはずだよ(Robert)」という摩訶不思議アルバム。ジェリーフィッシュ、XTC、スパークスなどが引き合いに出されていますが、この中ならどう考えても初期のスパークスがいちばん近いです。前作と同様、本作にもThe Sonic Executive SessionsのChristian Phillipsがゲスト参加。クラシカルな趣きのM9「A Song That Some Sing」で、それはそれは美しいファルセットボイスを披露しています。

<Miyuki Kimura>

1. Hello (They're Coming to Get You)
2. Too Hard to Put Right
3. Ad Astra Per Aspera
4. Mr. Wonderful
5. Nicola
6. Run to the Roundhouse
7. Dancing By Yourself
8. (The Day I Finally) Stopped the War
9. A Song That Some Sing
10. I Never Lied to You
11. You Don't Seem to Wonder Why
12. I See Something