このエントリーをはてなブックマークに追加

Army Navy "Crushed EP"

2013 (SELF RELEASE)

日本でアルバムが発売されたこともある、LAのインディー・パワーポップトリオ、Army Navyの6曲収録最新EP『Crushed』。素晴らしい内容だった前作『The Last Place』以来初となるリリースで、2014年に完成するであろうサード・アルバムへの序章となる作品だ。
レコーディングはYo La TengoやCrap Your Hands Say Yeah!を手がけたAdam Lasasで、彼はバンドの全作品を手がけている。

Pitchforkなどインディーロック・ポップなどを扱うメディアからすると彼らはまさに<パワーポップ>バンドなのだという。なぜか彼らをパワーポップだと思ったことがなかったのだが、実際ヴォーカルのJustin KennedyはMatthew Sweetの「Sick of Myself」やTeenage Fanclubの「Sparky's Dream」をライフタイム・フェイバリットにあげており、作曲を始めたのもTFCやThe Posiesからの影響だというから実は筋金入りだ。

彼がLAに行く前2004年あたりにDeath Cab For CutieのBen Gibbardと頻繁にステージに立ったりコラボレーションしていたというのは有名な話で、 Army Navyのエアリーなヴォーカルにはデビューから本作に至るまでどこかBenからの影響を感じてしまう。またパワフルでパンキッシュな曲も、この独特の浮遊感によって何者でもなくArmy Navyになってしまうので、そこが彼らをパワーポップの中の1バンドとして捉えていなかった理由か?と今更気づいた。特にデビュー作に収録されていたジャングリーなバブルガム・ポップをDeath Cab For Cutieがミックスしたような「Snakes of Hawaii」なんて最高にパワーポップしていたじゃないか、と。EPに先立ってシングル曲として発表された「Crushed Like the Car」は無論彼らのイチオシ楽曲で安定のArmy Navy節。ネオアコかと思うくらいの爽やかさでグラスゴー出身と勘違いしてしまいそう。新曲は4曲のみなのであれこれ書くよりも、とにかく来年のフルアルバムに期待。これからはPitchforkにまかせておかないで、アカデミーでもがんがん取り上げていかねば。

YuckやCalifornia Waves、WAVVESなど最近の90'sリバイバルなインディー・ロックも好きならば、このバンドも迷わずチェックしみてほしい。